建物もカフェも楽しめる美術館「東京都庭園美術館 旧朝香宮邸と新館」vol.2
邸宅の1階部分の様子はこちらの記事からご覧ください。
旧朝香宮邸 2階と3階の見どころ
朝香宮家の1階に続いて、2階の様子などをご案内いたします。新館、庭園、カフェ、レストランなど美術館の見どころはまだまだ盛りだくさんです!
涼しげなデザインタイルが敷き詰められた「北側ベランダ」
北側ベランダ(北の間)には床一面に涼しげな布目のデザインタイルが敷き詰められています。このタイルは京都の泰山製陶所(たいざんせいとうしょ)で制作された装飾タイルの1つ。その美しさからこれらの装飾タイルは美術タイルとして名を馳せました。
北向きの窓から森が見え、天窓からはやさしい自然光が入るこの部屋は、夏の暑い季節に涼を求めて家族で過ごした部屋といわれています。
四角い部屋を円形に見せている「殿下の書斎」
殿下が使用していた書斎の部屋は、飾り棚や柱の配置によって四角い部屋を円形に見せる工夫がされています。デスク、椅子、電話台、じゅうたんなどの家具一式はアンリ・ラパンによるデザインで、彼のイニシャルが入れられています。
特殊なクスノキが使われた「殿下の寝室」
殿下の寝室は木材にクスノキが用いられています。特にクスノキの玉杢(たまもく)と言われる特殊な木目を生かした扉が印象的です。この木材は天然の文様として、とても貴重な素材でした。
床にも美しいデザインがすみずみまで広がっています。天井に吊された照明は、職人たちがこのためだけにデザインした1点もの。天井のデザインにも詳細なデザインが入り、手の隙がない美しさです。
モダンな空間が美しい「ベランダ」
こちらは、殿下・妃殿下の居室からだけ出入りできる、ご夫妻専用のベランダ。建物の南面に位置しているため一日を通して陽当たりが良く、サンルームとしての役割を果たしていました。
床には国産の大理石が市松模様に敷かれ、シャープな照明器具が吊るされ、アール・デコの邸宅の中でもモダンな空間という異なった魅力を放っています。
大理石が張られた「浴室」
浴室は穏やかな色彩の空間に、南の窓からやさしく陽の光が差し込みます。壁面全体とバスタブの周囲には大理石が張られ、透明感のある世界が広がっています。
妃殿下のセンスを感じる「妃殿下の居間」
ボール型のシャンデリア照明、一枚ものの大きな鏡など、妃殿下のセンスを感じるものがそこかしこにあふれています。
天井照明が可愛らしい「姫宮の寝室前」
姫宮の寝室へと通じる廊下の天井には、星の形をした可愛らしい照明が設置されてます。丸いアーチ、天井に反射するステンドグラスの色彩、何とも言えない素敵な雰囲気でした。
ガラス窓に囲まれた「ウィンターガーデン」
3階へと続く階段を登ると、ウィンターガーデンが現れます。このウィンターガーデンは、特定の期間のみ公開されるため、訪れる時期によっては見学できない場合があります。事前に公式サイトで確認することをおすすめします。
ここは、ガラス窓に囲まれた陽当たりの良い部屋で、寒い時期でも植物を管理できる温室のようです。床の市松模様は日本の伝統的な図柄でありつつも、黒と白のツートーンや格子柄はアール・デコの空間にもよく取り入れられる図柄。和風アール・デコ、とも言われる印象的な空間に仕上がっています。
東京都庭園美術館 新館
展示室やショップ、カフェが併設
さて、ここからは本館を出て新館に向かいます。2013年に杉本博司を設計アドバイザーに迎えて完成したのが新館です。展示室やミュージアムショップ、カフェが併設されています。
ミュージアムショップ
ミュージアムショップでは、東京都庭園美術館の公式ガイドブックも販売されています。旧朝香宮邸の建築や歴史、それぞれの部屋の特徴など、建物について深く知ることのできる1冊です。日本語版と英語版で発行されているので、気になる方は手に取ってみてくださいね。
こちらは久邇香水(くにこうすい)といって、昭和天皇の皇后の兄君である久邇宮朝融王(くにのみやあさあきらおう)がご創作された香水です。美しいデザインが目を引くこの香水は、昭和26年より旧宮家の方々を中心に愛用されてきました。ローズとジャスミンの香りが販売されていました。
そのほか、美術館のオリジナルグッズや展覧会グッズ、芸術関連の書籍などが取り揃えられています。展示会の後、立ち寄ってみてはいかがでしょうか?
※ミュージアムショップを利用するには、美術館の入館チケットが必要となります。
展覧会のテーマに合わせたデザートが楽しめるカフェ
庭園に面するガラス張りの明るいカフェには、屋外のテラス席も用意されています。展覧会ごとにテーマや作品をイメージしたデザートや軽食などが提供され、展覧会の鑑賞後も目や舌で作品の余韻を味わうことができます。
今回、わたしがいただいたのはホワイトチョコレートとフランボワーズのケーキ。ケーキの上には白黒のチョコレートが市松模様のように並んでいて、邸宅のベランダやウィンターガーデンのデザインを思い出させます。
※カフェを利用するには、美術館の入館チケットが必要となります。
東京都庭園美術館の庭園
広々とした庭園が邸宅の隣に広がる
東京都庭園美術館は、その名のとおり広々とした庭園が邸宅の隣に広がっています。四季折々、風情のある景色を楽しませてくれます。
池を取り囲むような散策路と日本庭園
池を取り囲むように散策路と茶室が備えられています。たくさんの木々が植えられているため訪問した季節は特に緑が美しく、池は深い緑色に輝き、数匹の鯉が泳いでいました。
庭園美術館の庭は、日本庭園の他にも芝生広場や西洋庭園などがあります。天気の良い日には邸宅の見学と合わせて、庭をお散歩してみてはいかがでしょうか?
出口の方向へ向かっていくと、レストランとショップが見えてきます。
東京都庭園美術館の敷地内のショップ
庭園レストラン コモド
庭園レストラン コモドは、イタリアンとフレンチが融合したお料理を四季折々の景色と一緒に楽しむことができるレストラン。美術館の正門の横にあり、美術館に入園しなくても利用することができます。
ナチュラルチーズ専門店 フェルミエ白金台
さらに出口方面へ歩いていくと、ナチュラルチーズ専門店 フェルミエ白金台が見えてきます。こちらのお店では、厳選された美味しいチーズが販売されています。ナチュラルチーズのお買い物はもちろん、立食のカフェスペースでワインやコーヒー、フードメニューなどを楽しむことができるようです。
さきほどご紹介したレストランのすぐ隣にあり、美術館に入園しなくても利用OKです。
「東京都庭園美術館」へのアクセス
いかがでしたか?東京都庭園美術館は、アール・デコの美しさと日本の美意識が詰まった邸宅と、カフェ、レストラン、庭園などが楽しめる素敵な空間です。ぜひ実際に訪問して、目で見て楽しんでいただけれると嬉しいです。
東京都庭園美術館
東京都港区白金台5-21-9
- JR山手線「目黒駅」東口より徒歩7分
- 東急目黒線「目黒駅」正面口より徒歩7分
- 都営三田線・東京メトロ南北線「白金台駅」1番出口より徒歩6分