東京

黒川紀章が設計した「森の中の美術館」―新国立美術館の見どころと楽しみ方

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コレクションを持たない美術館

新国立美術館は、2007年1月21日に開館した国立の美術館です。

日本の美術館では珍しく、所蔵作品(コレクション)を持たないことが特徴です。収蔵品の常設展示は行わず、企画展や公募展の開催に特化しており、さまざまなジャンルのアートを紹介する場として親しまれています。

新国立美術館の外観、入り口の券売所

建物の概要

  • 地上4階・地下1階(1階から3階に12の展示室)
  • 高さ21.6m、幅150m超のガラスカーテンウォール
  • 延床面積:約50,000㎡
  • 展示室面積:約14,000㎡(国内最大級)

「新国立美術館」の受賞歴

  • International Architecture Awards 2006
  • 照明普及賞(優秀施設賞)2007年
  • 第8回日本免震構造協会作品賞 2007年
  • 2008年度グッドデザイン賞 2008年
  • 第49回建築業協会賞(BCS賞) 2008年

建築とデザイン

コンセプトは「森の中の美術館」

新国立美術館の最大の特徴は、その美しい建築デザインです。設計は、世界的建築家である黒川紀章(くろかわ きしょう)氏と日本設計共同体によるもの。「森の中の美術館」をコンセプトに、都会の中心・六本木にありながら、敷地内には多くの樹木が植えられ、自然と調和する空間が演出されています。

新国立美術館の外観、夜のライトアップ

正面入口:ガラスの円錐と赤いリング

新国立美術館の外観、ガラスの円錐形の正面入口

ガラスの外壁からも一目でわかる三角形のデザインが正面入り口です。入り口に入ると緋色で塗られたリングが上部に見えます。リングにはライトが取り付けられており、夜になるとリングの上下から光が放たれて正面入口を白く浮かび上がらせます。

新国立美術館のガラスの円錐形の正面入口
新国立美術館のガラスの円錐形の正面入口とガラスのカーテンウォール

美しい曲線のガラスのカーテンウォール

美術館の外観はガラスと金属で構成された波打つような曲線が特徴的です。ガラスというとても硬い素材を用いて、柔らかな曲面が表現されています。このガラスカーテンウォールは、紫外線を防いで太陽熱をカットしつつ、柔らかい光を取り込んで内部のアトリウムを明るく照らしています。

新国立美術館の美しい曲線のガラスのカーテンウォール

圧倒的な存在感の「コーン」

館内には高さ約21.6mの吹き抜け空間があり、その中央には「コーン」と呼ばれる逆円錐形の特徴的な構造物が2つ配置されています。この円錐の上部にはレストランとティーサロンが設けられています。

新国立美術館の逆円錐形の特徴的な構造物

大きい「コーン」の上はレストラン、小さい「コーン」の上にはティーサロンがあります。

新国立美術館の逆円錐形の特徴的な構造物

2つの「コーン」を一望できるエスカレーター

エスカレーターは隠れた絶景スポット。3階の踊り場からは2つのコーンや正面入口の三角形を見渡すことができます。湾曲するガラスカーテンウォール、差し込む太陽光、この建物のデザインの特徴を高い視点から一望することができます。

新国立美術館のエスカレーター
新国立美術館のエスカレーターの踊り場からの景色

写真の奥に見えるのがレストラン、手前に見えるのがティーサロンです。ティーサロンは2階から、レストランは3階からアクセスできます。

新国立美術館のエスカレーターの踊り場からの景色

和風の色合いを大切にした天井と照明

国立新美術館の各フロアの天井は、「和」をイメージした消炭色で塗られています。天井には大きな照明器具がなく、夜になると壁面に埋め込まれた蛍光灯が光る設計となっています。外から見てもこの光る壁が建物全体を照らし、幻想的に浮かび上がらせます。

新国立美術館の天井と照明
新国立美術館の外観、夜のライトアップ

景色を楽しむシースルーエレベーター

新国立美術館に入ったら、ぜひエレベーターにも乗ってみてください。内部のボタン配置を見て何かお気づきでしょうか?

ドアを開くための「開」のボタンはありますが、「閉」のボタンがありません。ゆったりとした時間を大切にするために、あえて「閉」ボタンを設計していないのだとか。扉が閉まるまでの少しの時間、ガラス張りのエレベーターの窓から見える美術館の景色を眺めてゆっくりしてほしい、という設計者の思いが込められているそうです。

新国立美術館のエレベーター近くからの景色

展示内容と企画展

新国立美術館には収蔵品がないため、常設展は行われていません。館内の12の展示室では、主に企画展と公募展が開催されています。

企画展

企画展では、国内外の著名な美術館やギャラリーと連携し、多様なアーティストやテーマを取り上げた展覧会が開催されます。著名アーティストによる大規模な回顧展や、現代アート、写真、ファッションなど、ジャンルは幅広く展開されています。

公募展

新国立美術館では、日本国内の美術団体による公募展も頻繁に開催されています。プロからアマチュアまで幅広いアーティストの作品が展示されており、若手や無名の作家にとっては、作品を発表する貴重な機会となっています。

館内の施設とサービス

新国立美術館は、美術鑑賞だけでなく、来館者が快適に過ごせるように、さまざまな施設やサービスを備えています。

地下1階と1階にあるミュージアムショップ

地下1階と1階にはミュージアムショップがあり、アート関連の書籍やグッズ、展覧会のカタログ、オリジナルデザインの雑貨などが販売されています。展覧会ごとに異なるグッズが登場するため、訪れるたびに新たなアイテムに出会える楽しみがあります。

新国立美術館の1階ミュージアムショップ

1階には「コーン」のふもとにショップがあり、地下1階のショップはエスカレーターを降りて左手にあります。地下のショップの方が売り場が広いため、ゆっくりと買い物を楽しみたい方には特におすすめです。

新国立美術館の地下1階ミュージアムショップ

アートライブラリー

館内3階には図書室があり、美術に関する専門書や資料を自由に閲覧できます。研究者や美術愛好家にとって、貴重な情報源となる資料が多数揃っています。

新国立美術館の3階アートライブラリー

本格的なフレンチレストラン

3階には本格的なフレンチレストランがあり、ランチはもちろんディナー営業も行っています。六本木の夜景を眺めながらフランス料理を楽しむことができ、企画展とのコラボレーションメニューや季節限定の特別メニューも好評です。

新国立美術館の3階にあるフレンチレストラン

紅茶やスイーツが楽しめるティーサロン

2階のティーサロンでは、紅茶やコーヒー、スイーツ、サンドイッチなどの軽食を楽しみながら、ゆったりとした時間を過ごせます。日本のアニメ映画『君の名は。』に登場したことでも話題になりました。美術館の美しい内観を眺められる絶景スポットとしても人気です。

新国立美術館の2階にあるティーサロン

カフェには2階からアクセスできます。

2階の踊り場

カジュアルに立ち寄れるカフェ

1階のロビーには、気軽に立ち寄れる開放的なカフェがあります。ガラスのカーテンウォールから差し込む自然光の中でゆっくり過ごすのもいいですし、天気の良い日に屋外テラスでくつろぐのもおすすめです。

1階のロビーのカフェ
1階のロビーのカフェ
1階のロビーのカフェ

ちょっとお腹が空いた時に立ち寄れるカフェ

エスカレーターで地下1階に下りると、ミュージアムショップとカフェがあります。カフェでは、ハッシュドビーフ、パスタ、ビーフボウルなどの温かい料理が提供されており、軽く食事をしたいときにぴったりです。

地下1階へのエスカレーター

美術館に併設されているレストラン・カフェについては下のボタンからご確認ください。アート鑑賞後にゆったりと食事や休憩を楽しむのも良いですし、建築を楽しむ目的でカフェを利用するのもおすすめですよ。

国立新美術館建築ガイドアプリ

国立新美術館では、建築の魅力をより深く知ってもらうため、公式WEBアプリ「CONIC」を提供しています。建築のこだわりや、館内各所の建築的工夫についての解説があり、建築に関心のある方には必見のコンテンツです。日本語、英語、中国語、韓国語に対応しています。

まとめ

国立新美術館は、「コレクションを持たない美術館」として、企画展を中心に多彩な展示を行うユニークな施設です。建築デザインや、充実した館内設備、快適なカフェ・レストランなど、美術鑑賞以外の魅力も豊富です。

都心にありながら、ゆったりとした空間でアートに触れられる国立新美術館は、美術ファンはもちろん、建築やデザインに興味のある方にもおすすめのスポットです。ぜひ一度訪れて、その魅力を体感してみてくださいね。

アクセス

国立新美術館は、東京都港区六本木に位置し、都心からのアクセスも良好です。東京メトロ千代田線「乃木坂駅」6番出口に直結しており、雨の日でも濡れずに来館できます。また、東京メトロ日比谷線「六本木駅」からは徒歩約5分、都営大江戸線「六本木駅」からは徒歩約4分と、複数の路線を利用できる便利な立地です。

国立新美術館

東京都港区六本木7-22-2

入館料:企画展ごとに異なる(常設展がないため、美術館自体の入館料は無料)

  • 東京メトロ千代田線「乃木坂駅」青山霊園方面改札6出口(美術館直結)
  • 東京メトロ日比谷線「六本木駅」4a出口から徒歩約5分
  • 都営地下鉄大江戸線「六本木駅」7出口から徒歩約4分
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ABOUT ME
Ruby
Ruby
Web Designer / Web Director
東京在住、WEBデザイナー/WEBディレクターのRubyです。日本各地に出かけて心に留まったものを写真に収めています。 日本の美しさ、日本の素晴らしさをもっと世界に広めたい、そんな想いでブログを始めました。旅行の時にぜひ立ち寄ってほしい観光スポットや建築、カフェ、ホテルなどをご紹介します。
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