東京

日本の歴史と伝統美を感じる「ホテル雅叙園東京」と東京都指定有形文化財「百段階段」

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ホテル雅叙園東京について

料亭からはじまった歴史あるホテル

ホテル雅叙園東京は日本画や美術工芸品に彩られた美術館のようなホテルです。もともとは東京の芝浦の地に1928年に創業者が自宅を改装して料亭を開いたのが始まりでしたが、1931年に目黒に場所を移し、日本料理に加えて北京料理も提供する本格的な料亭「目黒雅叙園」がスタートしました。

  • 1928年 創業者 細川力蔵が東京 芝浦の自宅にて料亭を開業
  • 1931年 目黒に移転し「目黒雅叙園」としてスタート
  • 1991年 建物を全面的にリニューアル
  • 1993年 第34回建築業協会賞を受賞
  • 2009年 「百段階段」が東京都指定有形文化財に指定
  • 2017年「ホテル雅叙園東京」にブランド名を変更

日本料亭だった当時から、お客様には料理はもちろん目でも愉しんでもらいたいとの願いをこめ、館内には芸術家たちが描いた壁画や天井画、彫刻などの装飾が施されていました。やがてそれらは「東洋一の美術の殿堂」「昭和の竜宮城」と言われるほどの、唯一無二の場所となりました。

そして2017年、「目黒雅叙園」から「ホテル雅叙園東京」にブランド名が変更されて再スタートしました。当時から受け継がれている豪華絢爛な美術作品はもちろん、ホテルのおもてなしの心とともに、今でも訪れる人たちを迎え入れてくれています。

館内はパノラマビューでも見られます

ホテルの館内はとても広いので、残念ながらすべてを紹介することはできません。公式サイトには360度のパノラマビューやギャラリーも公開されているので、ぜひ合わせてご覧ください。

アートギャラリーのような廊下

宴会場までの道も退屈しないような心遣い

ホテル雅叙園東京の廊下には、美人画が描かれた扇型の天井画と、彩色された木彫板が壁に施されていてまるで美術館のギャラリーのよう。「宴会場までお客様が退屈しないように」との思いでこのような装飾が施されているそうです。

これは旧目黒雅叙園から受け継がれてきた伝統の一つ。旧目黒雅叙園では、廊下から欄間、天井を埋め尽くすように絵画や彫刻が飾られていました。料亭を訪れた人々は料理を待つ間、館内を散策したり芸術作品を見ながら時間を過ごした、と言われています。

日本で初めての総合結婚式場

館内にはブライダルサロンも併設

廊下の中ほどにはブライダルサロンも併設されています。目黒雅叙園は日本で初めての総合結婚式場として、館内に神殿・衣裳室・美容室・宴会場を作ったことでも有名です。贅を尽くした華やかな空間で、大切な人の門出を祝うことができます。

招きの大門

両端に水面が広がる幻想的な場所

さらに奥へと進むと見えてくるのは「招きの大門」。両端に水面が広がり、静寂に包まれた幻想的な空間です。門の屋根には縁結びを象徴する飾りが付けられています。

門の中央には「目黒雅叙園」の看板が悠々と掲げられています。

「招きの大門」を抜けるとカフェやレストランが

「招きの大門」を抜けて赤い絨毯を歩いていくと、カフェやレストランなどが左右に広がっています。ホテルの中には日本料理や中国料理、イタリア料理など7つのレストランとショップが併設されています。

こちらはカフェラウンジ横にある、5階まで吹き抜けになったガラス張りのアトリウム。天井からの光が差し込む開放的で気持ちが良い空間です。

レストラン近くの「お手洗い」も凝ったデザイン

こちらはお手洗いの入り口ですが、こちらも細部まで美意識を感じる作りとなっています。

中に入ると、塗りの小さな橋が架けられ、まるで小さな街並みのよう。天井には装飾が施され、個室は和風の小さな小屋のように整備されています。旧館の名所でもあったお手洗いに更に改良して再現されたそうです。

続いては、ホテル雅叙園東京の中にある文化財「百段階段」についてご紹介します。

建物の中の見学できる文化財

東京都指定有形文化財「百段階段」

「百段階段」は旧目黒雅叙園の建物の一部で、1935年に建てられた木造建築です。坂道に沿って建てられ、7つの部屋が階段廊下で繋がっていることから、通称「百段階段」と呼ばれています。各部屋は1988年まで、宴会場として使用されていました。

今はホテルに残る唯一の木造建築であり、歴史上または芸術上の価値が高いとして2009年3月に東京都指定有形文化財に指定されました。

百段階段を見学するには、別途、チケットを購入することが必要です。ホテルの正面入り口やオンラインで購入することができます。ホテル目黒雅叙園を訪れたなら、ぜひ一緒に見学していただきたいおすすめスポットです!

受付後は豪華絢爛なエレベーターで移動

入り口でチケットを見せると、百段階段の見学者専用のエレベーターへと案内されます。エレベーターのドアや内部にも精緻な螺鈿細工が施されています。

「百段階段」の見どころ

晴れやかな宴が開かれた7つの部屋

晴れやかな宴が開かれた7つの部屋には、それぞれ違った趣向が凝らされています。当時の著名な画家たちが趣向を凝らして描いた美の世界が表現されており、日本文化を紹介する多彩な企画展も随時開催されています。今、開催されている企画展はこちらのボタンからご確認ください。

以下、わたしが実際に訪れた企画展「和のあかり×百段階段 2023」と「大正ロマン×百段階段」の写真とともにご紹介します。

2023年「和のあかり×百段階段 2023」より

2024年「大正ロマン×百段階段」より

十畝の間

7つある部屋のうちの1つ目の部屋は「十畝の間」です。天井には四季の花鳥図が描かれ、壁面の黒漆には螺鈿細工が施された重厚なデザインの部屋です。

2024年「大正ロマン×百段階段」より

大正時代(1912年〜1926年)は日本史で最も短い時代と言われていますが、後々の時代に大きく影響を与える変革の時代でした。アール・デコを取り入れた新しいデザインの着物や、洋服が取り入れられ始めた時代。和洋折衷の文化が感じられるものが次第に多くなりました。企画展ではその時代の衣装や家具などが展示されていました。

漁樵の間

続いて、「漁樵の間」です。室内には純金箔などが施され、彩色された木彫と日本画が艶やかに描かれた空間です。豪華絢爛かつ極彩色の空間です。

展示されていたのは、大正時代に販売されていた香水や化粧品など。パッケージデザインがとても可愛らしく、どこか懐かしい雰囲気もありました。宝飾工芸家として名を馳せたフランス人、ルネ・ラリックが1925年に発表した香水瓶も展示してありました。

2024年「大正ロマン×百段階段」より

星光の間

「星光の間」は天井や欄間いっぱいに草花の絵が描かれ、華やかでありながら落ち着いた部屋です。

2024年「大正ロマン×百段階段」より

清方の間

「清方の間」は、静かな茶室風の部屋です。障子には木で「富士山」が表現されています。

窓の木枠も細部まで細工が施され、美しい作りです。

企画展では、色とりどりな着物が展示されていました。大正時代の花嫁衣装と嫁入り道具でしょうか。鶴が羽ばたく様子が刺繍で表現され、華やかで素敵でした。

2024年「大正ロマン×百段階段」より

「百段階段」は99段までしかない?!

百段階段の頂上まで登ると、階段の横には「99」の表示があります。なんと「百段階段」の階段は100段ではなく99段で作られているのです。あえて、100段の階段には作らずに1つ減らしたのにはいくつかの説があります。

どうして99段なの?

昔から日本では数の多いものを「百」や「千」という言葉で表現しました。この階段も長い階段ですので、通称「百段階段」と呼ばれています。あと1段足さずに99段で止めているのは諸説ありますが、一言で言うと「縁起担ぎ」のためと言われています。

  1. 奇数は縁起の良い数だから
    縁起の良い奇数の中でもこれ以上ない大きな数字を2つ重ねて99段となった説。
  2. 完璧な数字より、発展性のある数字に
    完璧な状態は長くは続かないという考えから、あえてひとつ数字を引いたという説。100という整った数字から1を引いて、まだ良くなる余地を残した99段にしたと言います。

頂上の間

そして、最後の部屋である「頂上の間」。窓が多く開放的な部屋です。窓からは庭の木々を眺めることができて気持ちが良い部屋です。

「和のあかり」の企画展の一環として、竹細工のあかりや美しい着物が展示されていました。

2023年「和のあかり×百段階段 2023」より

ホテル雅叙園東京の宿泊について

「ホテル雅叙園東京」はいかがでしたか?館内全体が美術館のように美しいだけでなく、レストランやカフェなども併設され、宿泊することもできて、すべてにおいて一流のおもてなしを受けることができます。

全室にサウナ・ジェットバスを完備。広々としたスイートルーム仕様だそうです。宿泊者用アクティビティとして雅叙園アートツアーや抹茶お点前などのメニューも用意されています。

ホテル雅叙園東京
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Small Luxury Hotels of the World(SLH)

「ホテル雅叙園東京」へのアクセス

ホテル雅叙園東京

東京都目黒区下目黒1-8-1

  • JR・東急目黒線・地下鉄南北線・地下鉄三田線「目黒駅」より徒歩3分

目黒に行くならこちらもおすすめ

目黒エリアには「東京都庭園美術館」があります。ホテル雅叙園東京の中にある「百段階段」との提携割引を行っている場合もありますので、事前に公式HPでチェックしてみてくださいね。

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東京在住、WEBデザイナー&フォトグラファーのRubyです。日本各地に出かけて心に留まったものを写真に収めています。 日本の美しさ、日本の素晴らしさをもっと世界に広めたい、そんな想いでブログを始めました。旅行の時にぜひ立ち寄ってほしい観光スポットや建築、カフェ、ホテルなどをご紹介します。
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