国宝「迎賓館赤坂離宮」の魅力と歴史を探る

迎賓館赤坂離宮(げいひんかん あかさかりきゅう)は、東京都港区赤坂に位置する日本を代表する洋風建築のひとつで、現在は国賓や公賓を迎えるための迎賓館として知られています。特定の日に一般公開されており、豪華絢爛な本館の内部や、外国からの賓客をもてなす和風別館の内部も見学することができます。

迎賓館赤坂離宮の歴史
第二次世界大戦後は国に移管され、内閣および公館として使用することが閣議決定されました。
国賓として最初の歓迎行事は米国のフォード大統領でした。
迎賓館赤坂離宮は、1899年に当時の皇太子(後の大正天皇)のための東宮御所として建築が計画され、約10年の歳月をかけて1909年に完成しました。第二次世界大戦後は国に移管され、国立国会図書館や裁判官弾劾裁判所として利用されましたが、日本と国際社会の関係が活発になる中で国賓を迎える迎賓館として運用されることが決まりました。
建築様式と設計
建築様式はネオ・バロック様式を基調としており、フランスのヴェルサイユ宮殿やウィーンのシェーンブルン宮殿を彷彿とさせる壮麗なデザインが特徴です。ネオ・バロック様式とは、19世紀半ばにフランスで始まったバロック建築様式の復興を指し、左右対称の外観や豪華絢爛な装飾が特徴で、国家の威信を示すために多くの国で採用されました。
「ヨーロッパの建築様式」と「和の意匠」
設計は、日本の建築家 片山 東熊(かたやま とうくま)が担当しました。彼はドイツやフランスで建築を学び、日本に西洋建築の技術を導入した人物です。本館の設計にあたり、彼はヨーロッパの建築様式を採用しながらも「和の意匠」にこだわって日本独自の工芸技術を数多く取り入れました。
関東大震災でも損傷がなかった耐震設計
建設当初から地震対策が考慮され、壁中の縦横に鉄骨を組み、床下には鉄材を使用した耐震耐火構造が採用されました。この構造のおかげで、関東大震災にも耐え、100年以上経った現在でも威風堂々とした姿を保っています。
迎賓館の主要施設
迎賓館赤坂離宮は、世界各国の国王、大統領などをお迎えし、外交活動の舞台となる華やかな空間が広がっています。これまで多くの国王、大統領、首相などをお迎えしたほか、主要国首脳会議などの国際会議の場としても使用されています。
本館の外観と装飾
赤坂迎賓館の本館は日本で唯一の「ネオ・バロック様式の西洋風宮殿建築」で、建物の両翼を前方に張り出し湾曲させた特徴的な設計となっています。そして随所に「和の意匠」が取り入れられているのを見つけることができます。

屋根の甲冑
本館屋根の左右には一対ずつ、青銅製の鎧兜に鉄面をつけた甲冑の武士像が設置されています。これは寺社の門を守る仁王像のように、片方は口を開け、片方は口を一文字に結んで「阿吽」を表しています。
仁王像は口を開けた「阿形(あぎょう)」と口を閉じた「吽形(うんぎょう)」があります。「阿」はサンスクリット語(古代インドの言語)の最初の音を、「吽」は最後の音を表していて「阿・吽」の一対で万物の始まりと終わりを表していると言われています。



菊の紋章、桐の紋章など
日本の天皇・皇室の象徴である「菊の紋章」や、日本国政府の紋章として用いられている「桐の紋章」をさまざまな箇所で見つけることができます。


屋根の上には天球儀と鳳凰、その傍に桐の紋章が見つけられます。

正面玄関の扉の上部には菊の紋章、中段には桐の紋章の装飾が施されています。
柔らかく落ち着いたデザインの正門
1968年から迎賓館への改修工事が始まった際に、建築家の村野 藤吾(むらの とうご)は創建時に黒色であった正門の鉄柵を白色と金色に塗り替えました。植栽の緑も建物も柔らかく落ち着きを見せ、一般の人々に近づきやすさを感じてもらう意図があったそうです。
その他、本館や庭園にいたる大改修を経て、1974年に現在の迎賓館として正式に運用が開始されました。


迎賓館の入り口としてふさわしい柔らかく落ち着いた風格で、人々を迎え入れてくれます。

門の上にも日本の天皇・皇室の象徴である「菊の紋章」の装飾が掲げられていますね。

正門の左右に小さな門衛ボックスが配置されています。
ヴェルサイユ宮殿からヒントを得た中門
正門から本館までの通路の終わりには、青色と金色に塗られた中門が設置されています。これはヴェルサイユ宮殿の離宮として建築されたグラン・トリアノンの門からヒントを得たと言われています。

外国の賓客をお迎えする和風別館
和風別館「游心亭(ゆうしんてい)」は建築家、谷口 吉郎(たにぐち よしろう)氏の設計により1974年に建設されました。迎賓館本館で執り行われる行事や接遇が洋式であるのに対し、和風の意匠と純日本のおもてなしで諸外国の賓客をお迎えするための施設として利用されます。

庭園
迎賓館赤坂離宮の庭園は、本館を挟んで北側の「前庭」と南側の「主庭」の2つに分かれています。
前庭
前庭は本館の北側に位置し、正面から建物全体を眺めることができる絶好のビューポイントです。ここからは、ネオ・バロック様式の威風堂々とした本館の姿を一望することができます。



前庭ではキッチンカーが出店しており、テラス席で各種ドリンクや軽食を楽しむことができます。また、1日30セット限定で公式サイトからの予約が必要となりますが、このテラス席でアフタヌーンティーを楽しむこともできます。


主庭
主庭は本館の南側にあり、国宝に指定されている噴水があります。噴水の周りには松が植えられ、西洋風の噴水と和風の松が織りなす景観となっています。



噴水塔を囲む縁石には、上半身が鷲で下半身がライオンで翼を持つ、ギリシャ神話に登場する伝説の生物「グリフォン」が翼を広げています。

主庭からも堂々とした本館を見ることができます。
文化財としての価値
迎賓館赤坂離宮は、明治期の本格的な近代洋風建築の到達点を示す建造物として、日本の建築史上極めて重要な位置を占めています。
- 日本の「重要文化財」(2009年)
- 本館、車寄及び階段附属、正門・塀、東西衛舎、主庭噴水池、主庭階段 は「国宝」(2016年)
一般公開と観光スポットとしての魅力
迎賓館赤坂離宮は特定の日に一般公開されており、豪華絢爛な本館の内部や、外国からの賓客をもてなす和風別館の内部も見学することができます。本館・和風別館ではスマートフォンやカメラでの撮影が禁止されていますので、公式サイトからの抜粋で写真をお届けいたします。
本館:朝日の間

本館:彩鸞の間

本館:羽衣の間

本館:花鳥の間

どれも、実物をご覧になることをおすすめします!建設当時の日本の建築、美術、工芸界の総力を結集した国宝の建築物ですので、ぜひご自身の目で見て、体感してみてください。
- 本館:ガイドなし
- 庭園(主庭と前庭):ガイドなし
- 和風別館:専門のガイドが案内するガイドツアー
本館と庭園は付き添ってガイドするサービスはありませんが、和風別館だけは専門のガイドが案内する事前予約が必須のツアーとなります。英語でのガイドツアーも実施されているようですので、公式サイトからご確認ください。
国宝である施設を保全するため、入場前には手荷物検査が実施されています。意図せず果物ナイフなどの刃渡りのある刃物類を所持されている場合には、刑事法上、警察への通報義務が発生しますので、来館前には手荷物の確認をされることをおすすめします。
館内での禁止事項
館内では三脚など撮影用機材の持ち込みが禁止されているほか、本館・和風別館ではスマートフォンの利用やカメラでの撮影などが禁止されていますので、こちらも事前にご確認ください。
迎賓館赤坂離宮前休憩所
迎賓館赤坂離宮前の公園内に、カフェ、ショップ、トイレ等を有する休憩所が開設されています。迎賓館の参観の際に、ちょっと休憩するのにぴったりです。




バリアフリートイレも設置されています。

迎賓館赤坂離宮の模型も展示されていました。見学可能な本館、和風別館、庭園(主庭と前庭)の全体図も見ることができます。


まとめ
迎賓館赤坂離宮は、その豪華な建築様式、豊かな歴史、国際的な役割を持つ施設として、日本国内外から高い評価を受けています。本館はネオ・バロック様式をほぼ完全に実現した日本の最高峰の建築物の一つとされ、国宝にも指定されています。


見学予約は公式サイトから可能ですので、ぜひチェックしてみてくださいね。
迎賓館赤坂離宮へのアクセス
迎賓館赤坂離宮
東京都港区元赤坂2-1-1
- JR中央線・総武線「四ツ谷」駅、赤坂口より徒歩約7分
- 東京メトロ丸ノ内線「四ツ谷」駅、1番出口より徒歩約7分
- 東京メトロ南北線「四ツ谷」駅下車、2番出口より徒歩約7分